NATURAL TASTE
~1000万から始める家~
メールからの出会い
夏、一通のメールが弊社に届いた。
そこには、「コストを抑え、デザインにこだわった家を作りたい」といった内容の希望が記されていた。
それが今回の施主 OTさんご一家である。
しばらくの間、OTさんとはメールでのやり取りに終始し、実際に会ったのは2ヶ月くらい経ってからである。
まずは「事例紹介」・・・以前からお世話になっているGT邸を案内した。
その後、話は実際の計画に進んでいった。
OTさん一家が所有する土地は旗竿状・・・決して好条件とは呼びにくいものである。
永年暮らしてきた切妻屋根の木造2階建は通風と採光が十分ではなかったため、新しい住まいは「明るく個性的な楽しい暮らしがしたい!」という強い希望があった。
加えて、「いかにローコストで実現可能か?」という条件も加わり、今プロジェクトがスタートした。
OTさんの希望予算は1000万(!)である。
コミュニケーションの届く空間づくり
我々の提案は「コミュニケーションが行き届く小さな家づくり」である。
靴に関わる仕事に携わっているご夫婦という事で、来訪者にも楽しんでもらえるような展示コミュニケーションスペースを1階に、開放された階段を介してみんなの声が響く家族のコミュニケーションスペースを2階に配したのである。
様々な希望を整理しコスト検討もふまえ、1階を8坪・2階を10坪・ロフトを5坪という面積配分で計画を整えた。
この間、計画案は何度も更新され、模型は10案以上作成され、全ての合意を得たのは第14案目
・・・2006年の3月である。
緩やかな垂直空間構成
全体と通して、無垢板+塗装壁による「ナチュラルテイスト」のインテリアが特徴となっている。
1階には玄関ホールを兼ねた靴の展示スペースと寝室がある。
ゆるやかなストリップ階段をはさんで位置する寝室の南面には深めのピロティと3連の壁柱が用意され、印象的な柱廊空間を形成している。
2階は主要機能が集結する生活の中心として母親が子供たちに目がゆきとどき声をかけやすい配置となっている。
ロジェール(フランス)のコンロ、タイルトップキッチンが魅力的である。
また、ロフトは子供が利用する空間で、トップライトを共有しながらLDKとつながっており、子供たちの声が聞こえ、様子が伺える一体空間になっている。
「小さな家」での賑やかな生活が夢から現実に・・・
OTさん一家、今はゆったりとした日々を送っている。